「かような作戦故、皆の者の意向は如何なものか?」

「異論はありません。」
「同感ング。」
「情報収集は、オレに任せる気!!(^▽^)/」
「しっかし随分監督も粋なコト考えんじゃねーっすか?」
「ブハハハハハ、粋とは言うのぉ〜〜」

「…ではまず実行は…。」


「分かりました。オレですね?」


「左様。」



MISSION IMCOMPLETE?



「っは〜〜やっと終わった〜〜!!」
バタンと勢いよくロッカーのドアを閉めるのは、十二支高校1年、猿野天国。
本日も名門野球部にふさわしくハードな練習を他の部員と同様終えた。
いつもと違うのは、明日は3週間ぶりの休日であるということ。
十二支野球部員たちは、それぞれ意中の人を誘おうと各々それはもういろんなことをシュミレーションしていた。


「おっつかれ〜〜!!兄ちゃん!!
 ねえ、明日の日曜って休みだし、また僕のゲームやりに来ない?」
早速お誘いをかけたのは特攻隊長、兎丸比乃。
野球部レギュラーのほぼ全員の意中の人、猿野天国に速攻で声をかける。

「お前のゲームって「月を見る人」か?
 …また夜が明けちまうから…。遠慮しとく。」
「え〜〜?!せっかくバージョンアップして武軍のトーテムポールとかセブンブリッジのヒトたちとかも
 キャラにいれたのに〜〜。」

「…かなり興味そそられっけど今日はやめとくわ。」

「では猿野くん、私の家でサスペンス映画でもいかがですか?」
「あの…よかったら僕と何か食べて帰らないっすか?」
「……(僕とCD見にいかない?)」
「通訳しないよ?シバ君。」
「…!!(がーーーーん)」
「バカ猿…。とりあえずうちに来い。」
「HAHHA〜〜N、オレと来たらナンパの極意を伝授するZe?」
「なにをアホなこと言っとぉ!!野、季節の野菜を分けるばい、家に来んと?」
「いやいや、今日は我が家に来ないかな?特訓抜きだよ。美味しい紅茶を用意しているんだ。
君のために「がああああああ」
「(よくやったのだ三象!)そんなことより、僕と明日川釣りに行くのだ!!」
「断定は失礼也。猿野、都合がよければ我が家で和菓子でも…。」

などなど、大勢が畳み掛けてきた。

「あ〜〜、今日は家で寝るわ。最近疲れが溜まってるし…。」
とりあえず全員の言う事を聞いていたらすでに暮れた日が昇ってきそうである。
想判断した天国は、じゃあ、と声をかけながら部室の扉をひらく。


その時。


ブウォン!!!

突然間近でエンジン音が鳴り響いたと思うと。

「どわああああ???!!!」

「「「「「「「「猿野(くん)??!!」」」」」」」


十二支の部員たちの目の前で、天国はさらわれていった。


#############

さらったのは、750CCの大型バイクに乗り、黒いヘルメットをかぶった男。
服装は学生服なので、どうやら高校生らしいが…。

どう見たって普通に誘拐犯である。


「てめえ!!オレをどうする気だよ!!」
そう小柄でない自分を肩で担ぎ上げ、難なくバイクを操作する。
警察が見たら絶対追いかけてくる状態。
しかし、バイクを運転する男は、警察の影のない道を知り尽くしているかのように迷いなく走っていた。

かなり体力もあり、運動神経もよい男のようだ。


「答えろってんだ!!」

「黙ってろ。舌噛むぜ?」

「え?」

わめく天国に、男は短く答えた。
どっかで聞いた事のあるような…。



そんな風に天国は一瞬別のことを考えていたが、そのうちに目的地に着いたようで。


男はどこかの学校の校門に入りグラウンドの横につけると、バイクを止め、漸く天国を下ろした。


「こ…ここって…。」

そう。ここは天国がごく最近野球部の練習試合のために来た場所。


埼玉県bPの野球名門校。
華武高校である。


天国がぼんやりしていると、自分をさらってきた男がヘルメットをはずす。


「驚かせたな。」

その声に振り向くと見たことのある眼帯とウェーブのかかった髪に、整ったシャープな顔立ち。

「あんた…ココの2軍の…?」

「ああ、帥仙だ。」

にっとニヒルな笑みを浮かべるその顔に、天国は一瞬見とれたが。

その前に。

「って、何でこんなとこ連れてきたんだよ!!」



「当然の質問故。」


天国の叫びに、別の場所から非常の個性的な声が聞こえてきた。
再び天国が声の下方向に振り向くと。

狐のお面に、肌を一切見せない和服姿。
普通なら日本社会に日常的にはなかなか存在しえない格好の。

華武高校の監督がいた。



###############


「で、一体どーゆーつもりなんだ?」

「簡潔に言うと、そなたに会うことをほぼ全員の部員が希望したということ故。」

本当に簡潔にとんでもない事を抜かしてくれた。
っていうかだからってヒトの意見も効かずに拉致って来るか普通?!
百歩譲っても教育機関だろここは!!


「いーじゃん。どうせなら華武に編入すれば?」
「あ、それいい気b(^▽^)d!!ミヤ、たまにはまともな事言うじゃん!!」
「まともですか…?」
「でも悪くない提案ングね。」


「ふざけんな!!
 オレは凪さんを甲子園に連れて行くために野球してんだよ!!
 ここじゃオレが野球する意味はねーの!!」

天国は無茶苦茶な事をいう華武のメンバーにはっきりと断りを入れる。

すると。

「ほう…。」

天国は突然後ろから顎を掴まれると強引に後ろを向かされる。

「…い”ッ…。」
向いた先には、華武高校野球部主将、屑桐無涯がいた。

「な、何…。」

「この華武高校で野球をすることに意味はないと?
 猿ガキ、なかなかに大口をたたくな。」

屑桐の表情はいつもより厳しい。
天国の言葉に聞き捨てのならない部分が含まれていたから。

「る…せえっ!
 大口だろうが小口だろうがオレはオレのやりたい場所で野球をする!
 そう言って何が悪いんだよ!!」

まごうことなき正論である。

だが。



恋は理屈じゃなかったりする。


「そうか…ではどうあっても十二支に戻ると?」
「あたりめーだ!!」

「返したくねーよなあ…。」

「ねえ猿くん、オレらがここまでして君を連れてきた意味、わかってなさ気だねえ?」
「どうしても会いたかったから…っていうのもあったング…けどそれだけじゃねぇ。」

御柳や朱牡丹たちも天国の元に寄ってくる。

先程より真面目な口調。
真剣な瞳。

その様子に天国は微かに身体をこわばらせる。

背後にいた屑桐は、言葉を続ける。

「貴様をさらってくることに賛成した者たちは、皆貴様を独占したいと思っている。
 だが…貴様は一人だ。そのうえ他校生で、すぐに会うことすらままならない。
 だから俺たちは全員で決めた。」

「ああ。お前を俺たちで独占する…ってな?」



「な…っ!!」

天国は驚き、しかし一息つくと言った。



「ギャグじゃ、ねえんだな…。」


「そう見えるか?」
屑桐は目の前で小さく呟く天国の声にこたえる。



「いや、見えねー…だから。」


「だから?」


「全力でギャグに戻す!!」
その時。


ドグッ

天国の肘が屑桐の鳩尾を捉える。


「ぐっ…。」

その一瞬、屑桐の横から天国が逃げる。

「あっ!逃げた!!」

「屑桐さん、何してんすか!!」


そんな事を周りが言っている間に天国は帥仙の乗っていたバイクにまたがった。

「んじゃ、これ借りますねっv」

先程のように重厚なエンジン音と共に。

天国は逃走した。(速)



「しまった…。」

「帥仙さん!キーつけっぱなしだった気?!」
「うっわ〜〜詰め甘いっすよ!!」


「く…すまん。」



「ふうむ…美しい宝はそう易々とは手に入らぬものよのう?」

「申し訳ありません…監督。」


「いや、気にするでない。
 ただし、屑桐、帥仙。」

「「はい?」」


「その方ら、一週間4軍(雑用係)入り故。」(にっこり)


「「よ”??!!」」


##############


「ってこれどうやったら止まるんだ〜〜〜〜!!!???」



その日、ただただ真っ直ぐ失踪するバイクと。

華武高校のとっても態度のでかい雑用さんたちは。


華武高校近辺の立派な語り草となり、伝説となったりした。




本日の結果  力技の勝利。 


                                            end


心の奥底からわけの分からない小説で猛反省してます。
途中でギャグなのかシリアスなのか本気で分からなくなってきたのですが、どう考えてもまとまらず。
別の結果にするとあまりにもマンネリになってしまったのでこうなりました。
結局シリアスになりそうになったのを天国が身の危険を感じてギャグに戻した、という半端な楽屋落ち。
ルウ様、お待たせしたのに…本当にすみません!!
総受ギャグって…マジ難しいです…。(T▽T;)
私の拙い脳味噌ではこれが限度のようです。
し…しかも十二支のショックな描写がないし全然まったりラブじゃなかったです…ね…(@▽@:)
すみません書き終わってから気づいてます…!!

素敵なリクエストなのに…本当にすみませんでした!
こんな奴ですが見捨てないでいただければ幸いです…(T T;)

では、今日はこの辺で!!

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